12月6日の一般質問原稿です
山本ひとみです。通告に従い一般質問をいたします。
1番目に、介護保険制度の2018年度改定への市の対応について質問します。
厚生労働省は、2018年の介護保険制度の改定を見据えて、11月25日に社会保障審議会の部会を開き、介護保険制度見直しの意見書素案を示しました。現役並み所得の高齢者を対象に利用料の負担を現在の2割から3割に増やすことなどが盛り込まれていることなどが報道されました。大きな議論になっていた要介護度の低い人の掃除買い物などの生活援助サービスを保険対象外とすることや福祉用具レンタルの自己負担引き上げなどは見送られました。
翌日、ケアリンピック武蔵野が開催され、シンポジウムに中で担当部長が「軽度者へのサービス向上が必要」など、厚生労働省への意見を述べられましたが、市民や介護従事者の声を代弁したものと評価しています。
今後、介護保険制度の改定に向けた議論が進んでいきますが、介護保険制度ができる前から制度設計に独自の提案をしてきた武蔵野市としてどのような対応をとり、厚生労働省に提言をするかは、市民のみならず他の自治体からも注目されています。以下質問します。
第1に、昨年度から実施されている、利用料2割負担・市町村総合事業・特別養護老人ホーム入所者への重度化等についての現状と課題を伺います。
第2に、2018年度介護保険制度改定に武蔵野市としてはどのような方針で臨んでいくかを伺います。
具体的には、現在発表されている素案への評価をお尋ねします。利用料の3割負担を一定年収以上の方へ導入すること、さらに素案ではなくなったとはいえ、軽度者への生活援助サービスが後退すること等は、介護保険制度の基本に関わる重大な制度改変と考えます。財務省サイドで、負担増給付減が進むことに対しては、介護保険の理念を堅持して対応し、市独自の取り組みである
①保険料の所得階層の多段階化
②利用料の5%助成継続
③現状の対面を重視した介護認定審査の継続
等を強化していただきたいと思いますが、市長の見解をお聞かせください。
2番目に、ましゅまろ保育園事業者撤退を受け、保育園待機児対策と保育の質の維持向上を進めることについて、質問します。
来年4月の保育園入所第1次受付が11月14日に締め切られました。
今年は、子ども子育て支援新制度が実施されて2年目です。残念ながら、全国的にみて、保育園の増設は進んでいても、質の確保の伴わない例も多く、保育園間の格差も広がっているといわざるを得ません。保育の領域での規制緩和が何をもたらしたのか、政府は今一度事実を直視し、見直しを図るべきと考えます。
武蔵野市でも、今年4月には開設されたばかりの園での保育士の退職という事例があり、吉祥寺エリアでのましゅまろ保育園の事業者撤退という事態も9月末に明らかになりました。その後、事業者は、損害賠償と慰謝料を請求して国家賠償を提訴しました。大変残念な事態であり、市はこれまでの対応の真剣な検証が求められています。 一方、市民の中では、ましゅまろ保育園事業者撤退がマスコミで大きく報道されたことによって、保育園の事業者選定や保育内容について関心が高まっていると感じています。この機会にしっかりと今後の保育のありかたを、緊急対応も、中長期的な課題も議論していくべきと考え、以下質問します。
1点目に、ましゅまろ保育園事業者撤退について伺います。
第1に、市は今回の業者選定から事業者撤退にいたる経過・課題についてどのように検証したのでしょうか。検証に関わった部署と手法及び市長の見解を伺います。
業者へのサポートについては、11月21日の文教委員会で市長も担当部長も「事業者を支えきれなかったということでは、我々にも責任がある」と課題があったことを答弁で述べられました。それでは、具体的に何が可能だったと考えておられるか、お聞かせください。
私は、9月12日の周辺住民の方からの陳情審査に当たり、取り扱
い協議で、「この委員会で結論を出すべき。・・・これ以上延ばしたら、業者が撤退し、市が多額のお金を払い、税金から払い、しかも保育園建設に多大な支障があり、多くの人が迷惑する」と述べました。
今回の事例は、原理原則だけで判断が難しい事例でした。公設公営で、危険のない、住民が受け入れてくれる立地ですべての保育園が建設できればそれが一番いいことに疑う余地はありません。ある保育園利用者は9月はじめに「車通りの少ない場所のほうがいいが、吉祥寺のどの場所にできますか?それはいつになりますか?私たちにはあと8ヶ月しか残されていないんです。」と述べていました。
過密な都市部で、どのように住民の理解を得て、保育園を開設するか、業者任せにしない、公的な関与の内容が問われていると感じています。
第2に、武蔵野市の行政・待機児対策にはどのような影響があったと考えているか、市長の見解を伺います。11月21日の文教委員会では、吉祥寺エリアの3歳児対策は「3歳に特化した形で30~40名程度の保育施設を考えている」と担当課長から答弁がありましたが、この内容についてお話いただける点があれば、お願いします。
第3に、今後、業者選定・公募の際の「武蔵野市待機児童緊急対策にかかる認可保育所設置運営事業者募集要項」の内容・開園前開園後のサポートについてはどのように考えているか、市長の見解を伺います。
2点目に、保育園の待機児ゼロをめざす取り組みについて伺います。
第1に、今回の受付で、保育園の年齢別の定員と申し込み者の数は、どのような状況か、お示しください。
第2に、各町別での申込者は現時点でそれぞれ何人でしょうか。来年度待機児が多くなる地域は予想しているのでしょうか。
第3に、ニーズ調査についてお尋ねします。私は、保育園の入園を申し込んだ世帯はもちろんだが、申し込まなかったが希望のある世帯が、どの地域に何人いるのかを把握できるニーズ調査を行うことが必要ではないかと考えます。そうでなければ、保育園入所を申し込みたいが、どうせダメだから申し込みもやめようとか、とりあえず幼稚園に入所してその範囲内で働こう、という方も一定いらっしゃいますが、実態が明確に把握されていないのではと感じています。未就学児全体の保育園入所に関わるニーズ調査はできないでしょうか、市長の見解を求めます。
第4に、多摩地域26市の、就学前の子どもに対する保育園申し込み者の割合・待機児の割合はどのような状況か、お示しください。
第5に、0歳から2歳までの保育園を増設したことで、3歳児の保育園入所が狭き門になる「3歳の壁」対策の現状はどうでしょうか。昨年の同様の質問には、「昨年以上の弾力化を進めることにより、できるだけ多くの3歳児の預け入れ先の確保を行っていきたい」との答弁がありました。これ以上の既存園での3歳児クラスの弾力化は問題があると考えていますが、方針を伺います。
第6に待機児ゼロの目標です。現状で、2018年4月での待機児ゼロの目標は変更しないと考えてよいのでしょうか、お聞かせください。
3点目に、保育の質の維持・向上、格差是正について伺います。
第1に、この2年間で新たに開設された保育園での近隣住民との関係や保育園運営をめぐる問題にはどのようなものがあったのでしょうか。市としては、どのようにサポートしているか、お尋ねします。
第2に、保育のガイドラインを武蔵野市すべての保育園で実施するため今後の方針を伺います。
第3に、認証保育所と認可保育園の保育料の差額助成制度が、昨年度から改善がありました。助成金額の総額と補助額ごとの人数は、昨年度実績今年度9月段階ではどうだったか、お聞かせください。
4点目に、保育園の建設・運営に関わる財源問題および今後の建て替え計画・人材育成について伺います。
第1に、財源問題です。現在ある認可保育園で、公立・子ども協会立・その他という3類型で見れば、国・都からの補助金、市からの補助金は、建設費・運営費それぞれでどのような状況か、お聞かせください。
第2に、公立保育園の位置づけです。公立保育園は、今後とも新たな施策のパイロット的実施が可能であり、処遇の困難な子どもにも丁寧な保育などを実施できる園として重要と認識しています。公立保育園の位置づけを中長期的にどう考えているか市長の見解を伺います。
第3に、子ども協会の役割です。子ども協会による保育園建設を進める場合、何が課題になるのでしょうか、お尋ねします。
第4に、建て替え計画です。武蔵野市では学校施設の建て替えを行うための計画作りが進められています。では、老朽化した公立保育園・子ども協会立保育園の建て替え計画は、どこで審議され、どのような考えのもとに進められるのでしょうか、お尋ねします。
現在地での建て替えが可能な園はあるのでしょうか。なければ、建て替え計画は土地の確保も必要となりますが、計画策定はどのように進められるのか、お聞かせください。
第5に、人材の養成です。今後、新たな保育園を設置した場合、指導的な保育士の確保が極めて重要と考えるます。指導的人材の養成の要請に関する方針を伺います。また、退職したベテラン保育士など、現在仕事についておられない潜在的な保育士の力を活用できる仕組みが必要ではないかと考えますが、市長の見解をお聞かせください。
3番目に、住環境を守るまちづくりについて質問します。
武蔵野市の街の性格は主要には住宅都市です。都心に近くアクセスもよいが、緑も多く落ち着いた街並みであることは武蔵野市の価値を高めていると考えます。こうした住環境を守るために市は2014年2月より建築物の高さ制限を実施し、さらに景観ガイドライン制定に向けて現在市民意見を募集するなど準備が進められています。
一方、市内では、玉川上水沿いなどであいついでマンション建設が進み、緑が失われていくことを惜しむ声を多くの市民から伺っています。また、最近も低層住宅地のすぐ近くににこれまでにないボリュームのビルが建設されることが明らかになり、周辺環境と調和した建築物になるよう住民から要望が出されています。以上の認識に立って以下質問します。
1点目に、高さ制限が導入されまもなく3年となりますが、まちづくりの上でどのような成果があったかを伺います。
2点目に、景観ガイドラインが来年4月制定される見込みですが、期待される効果について伺います。
3点目に、商業地域と住宅地域が近接しているエリアでの住環境を守る取り組みについて伺います。
この問題は、私は都市計画審議会の委員として高さ制限の審議をしたいたおりに論点の一つとして提案しました。
2014年1月23日の都市計画審議会で私は「低層住宅地の周辺部分に関しては、2階建て・3階建ての10メートル程度のところのすぐ横が7階建て・6階建てだったりすると、圧迫感があるし、環境に影響があることは明らかなので、・・・・23メートルが適当だという根拠をお示しいただいたきたい・・・」と質問し、「過度な制限にならない値にすること」という答弁をいただきました。
しかし、その後、商業地域と住宅地域が近接している西久保1丁目東側や武蔵境駅北口などのエリアでの開発行為が何件か進んでおり、現状のままでよいのかとの指摘もあります。こうしたエリアの用途地域指定は歴史的経過もあり、段階を追った高度制限によって、なだらかな景観のスカイラインを形成する状況になっていない場所もあるのが事実です。
そこで質問ですが、
第1に、市内の商業地域と事実上の低層住宅地が極めて近接している地域において、現状の高さ制限で課題をどうとらえているのでしょうか。賑わいや産業振興を求める声と緑が多い落ち着いた街並みを求める声をそれぞれ評価し、ルールにしていく上での上での基本となる考えをお聞かせください。
第2に、今後、こうした地域における住環境を守る取り組みをどのように考えているのか、お答えください。
4点目に、地下を利用する建築物について伺います。
11月8日、JR博多駅前で大規模な道路の陥没事故が起き、大きな衝撃を社会に与えました。都市の市民の生活を支えるインフラも多くは地下に埋設されていますが、地上からは老朽化などの状況が把握できません。また、地下を深く掘る構造物の周辺の道路や住宅が傾いたり破損があるのではないかと懸念があります。地下を深く掘る建築物や構造物は周辺環境にどのような影響があるのか、被害があった場合の対応などについて明らかにする必要があると考えます。
第1に、深さの規制がないことは伺っていますが、地下利用に関する現状の法規制で課題はあるのかをお聞かせください。
第2に、工事中の安全対策に対する市の関与はどのようなものかお示しいただきたいと思います。
第3に、工事後に周辺の住宅等に被害が出た場合は、責任の所在はどこにあり、損害賠償については期間などの定めはあるのか、見解をお尋ねします。