吉祥寺の土地問題・多文化共生社会・生活困窮者支援・生物多様性  ~12月6日の一般質問原稿~

吉祥寺の土地問題・多文化共生社会・生活困窮者支援・生物多様性
  ~12月6日の一般質問原稿~~

 通告に従い質問をいたします。
 内容は4項目です。①吉祥寺駅近くの土地取引とまちづくりの問題・②多文化共生社会・③生活困窮者支援・④生物多様性を促す取り組みについて、です。
 それでは質問を始めます。

 大きな1番目は、吉祥寺駅北口の土地売買契約とまちづくりのあり方について、質問いたします。

 吉祥寺東部地区のまちづくりについては、本町コミセンのバリアフリー化・消防団詰め所の増築・明るく見通しのよい道路への改修・通勤や買い物等で利用する駐輪場整備などの課題を抱えています。
 昨年、市は吉祥寺図書館東側の27番街区に土地を購入し、18番街区の暫定駐輪場を隣地所有者に売却しました。この土地取引は、吉祥寺の課題解決・まちづくりの前進にとって、欠かすことのできない重要な取引だったと考えています。私がこの質問を通告したのは11月25日でしたが、数日後に発効された市報の最終面16ページにも、吉祥寺東部地域のまちづくりに紙面が割かれていました。

 しかし、こうした土地取引に対し、市に損害を与えたとして、元市長が現職市長を訴える損害賠償の裁判が提起され、街にもこの件でのポスターが貼りだされ、チラシの配布もありました。土地取引は何のために行われ、何が問題になっているか、疑問を感じる市民もいらっしゃいます。市政にとって見過ごすことのできない問題です。私自身は、この土地取引が市に損害を与えたとは言えず、吉祥寺東部地区のまちづくりの前進にとって必要な事業と思っています。
 以上の状況をふまえ、以下質問します。

 1点目に、土地売買の目的に関して伺います。

第1に、吉祥寺東部地域に関して、どのようなまちを構想するか、市長の見解をお尋ねします。
第2に、市が購入した吉祥寺図書館東側・27番街区土地の購入に至る経過と今後の利用目的をお尋ねします。
第3に、市が隣地所有者に売却した吉祥寺駅に近い18番街区土地が長年暫定駐輪場だった経過について、見解をお聞かせください。

 2点目に、売買価格に関する情報公開に関して伺います。

第1に、土地購入は、「議会の議決に付すべき契約及び財産の取得または処分に関する条例」で議会の議決が必要な案件が規定されています。
 これによって、1件5000㎡以上の土地購入は、議決が必要とされますが、こうした広さの土地取引が武蔵野市で多くあるわけでありません。
 私は、1995年に市議会議員になって以降、土地購入のあり方とその根拠となってきたこの条例に関して問題点を指摘してきました。
 私が議員になる前の1990年・1991年はバブル崩壊直前で地価も高い時期でしたが、市は多額のお金を土地購入につぎ込んでおり、市の財政は借金を増やし、金利も負担することになりました。
 土地購入のあり方は、裁判にも訴えられましたが、市民が土地購入のあり方に関心を持ち代金の公開を求めるのは、きわめて当然のことではないでしょうか。
 こうしたことがかつて行われていましたが、現在は土地購入の方法・その公開のあり方も大きく変化したことを、私は高く評価しています。
 この条例によらない、それ以外の土地購入価格の公開について、その経過と内容をお尋ねします。
第2に、過去3年間、代替地・諸用地・公共施設や道路の建設用地などの購入は、年間それぞれ何件で、今どのような状態でしょうか。
第3に、過去3年間、土地開発公社の購入した土地に対する利子支払いの年間経費はどのようになっているか、お聞かせください。

 3点目に、金額の決定と公表に関して伺います。

 土地の取引は、価格の公表に大きな意味がありますが、土地を誰に売るかによって、価格が異なることは大切な事実です。
 単体での正常価格と実際の売却金額が異なることも当然あります。そこで2点質問いたします。
第1に、単体での正常価格と実際に売る限定価格は、どのような形で決められるのでしょうか。
第2に、今回18番街区暫定駐輪場の売却価格は、昨年11月29日の議会答弁によれば1坪1078万円でですが、この点をどのように広報しているのか、お聞かせください。
 なお、広報の一環である市報に関しては、12月1日号で吉祥寺東部地域のまちづくりに関する記載の中で、土地取引もあったことを評価してますが、市報も含めた広報全般を伺いたいと思います。

 大きな2番目に、多文化共生社会の実現について、質問いたします。

 多文化共生社会の実現は、武蔵野市の第6期長期計画でも掲げられている重要な課題です。
 また、私は、住民投票制度が外国籍の住民も含め、国籍によって差別されない制度となることは欠かすことができない内容だと考えていますが、住民投票制度がめざしている社会は、多様性を認め合う社会だではないでしょうか。ヘイトスピーチ・ヘイトクライムを許さない条例も、実効性のある形で武蔵野市でも制定されることを願っています。
 こうした観点から、現在策定中の「武蔵野市多文化共生推進プラン(仮称)」は、法務省の多文化共生推進プランや東京都多文化共生推進指針等をふまえ、武蔵野市の多文化共生推進の基本的な考え方や施策(しさく)の方向性を示すとされていますが、このプランの中に差別や偏見を許さないという点が盛り込まれることを期待しています。
 さる11月15日に開催された懇談会も傍聴しましたが、配布資料も質疑の内容も、中身の濃い充実した内容と評価しています。
 一方で、中間のまとめへのパブリックコメントが12件だったことは、市の方針がしっかり書き込まれていることを考えれば、残念に思います。また、11月に発表された「武蔵野市民意調査報告書」の「武蔵野在住の外国人とのかかわりの希望では、49.2%の方がどちらともいえないと答えており、一定の戸惑いもあるのかもしれないと感じました。
 こうした点をふまえ、以下質問します。

 1点目に、多文化共生社会の実現に関して伺います。

第1に、多文化共生社会の実現に向けた取り組みの実情をお尋ねします。
第2に、外国籍市民の人数と対応窓口・主に寄せられている質問・意見の内容をお尋ねします。
第3に、偏見・差別への行政の対応を出されている中間のまとめの施策の方向性に「偏見や差別の解消に向けた取り組み」が記載されています。
 具体的には、「外国人市民が偏見や差別を感じることのないよう、啓発活動等に取り組みます」と書かれていますが、偏見や差別と思われる事例には、行政としてはどのように対応していくのか、お聞かせください。また、市民一人ひとりへの働きかけはどのように考えているかもお尋ねします。
第4に、やさしい日本語や多言語の利用に関する行政の取り組みをお尋ねします。
第5に、日本語を母語としない児童生徒に対して、公立学校での体育・トイレ・給食などの対応はどのような状態か、お聞かせください。

 2点目に、いわゆる入管法に基づく仮放免の外国人に関して伺います。

 私は、11月2日国会で開催された「生きられない!」というタイトルの「在留資格のない外国人の生存権を求める院内集会と省庁交渉」に参加し、さらに、11月23日には、川口市で開かれた難民移民フェスにも行きました。どちらも、仮放免など在留資格のない外国人の人権を問題にしたイベントでした。ちなみに、11月23日には、サヘルローズさんのお店がありましたが、この午後、武蔵野市のイベントでもサヘルローズさんが講師として、武蔵野公会堂でお話され、大きな拍手が寄せられたことは大変印象的なできごとでした。

第1に、仮放免の外国人は、就職もできず、生活保護など社会保障も受けられない無権利の劣悪な状況に置かれています。
 病気になっても、保険証をだして治療を受けることができす、歯を悪くしている方もあり、ガンなど重大な病気になっても高額の医療費を払えるのか躊躇している方もおられます。まさしく人権が軽視されている状況と言わざるをえません。
 こうした状況に関し、市長・教育長の見解をお聞かせください。
第2に、武蔵野市では、こうした状況の仮放免の外国人は、把握しているのでしょうか。
第3に、相談があった場合どのように対応するかお聞かせください。

 大きな3番目に、円安・物価高の状況の中で生活困窮者支援の前進について、質問をします。

 現在、エネルギーや食糧価格の上昇に加え円安が続き、昨今の東京での感染者は一進一退ですが、新型コロナウイルス感染症の第8波も進行しています。
 このような状況は、国内の景気にも影響を大きく及ぼし、内閣府が11月15日に発表した2022年7月から9月期の国内総生産GDPの速報値は、年率に換算し前期に比べ1.2%減少しました。
 一方、資源高・円安で海外への所得流出も進み、実質国内総所得GDIも、年率換算で前期に比べ3.9%減と悪化しています。
 新型コロナ災害が収束しない中で、仕事の減少や病気による収入減に直面する世帯もありました。
 また、物価高への対応を求める声も大きく広がっており、私もいくつも伺いました。個人消費などの内需が、景気回復の中心になるべきことは、言うまでもありません。
 経済状況を受けて困窮の続く世帯に対し、何が必要か、当面するいくつかの課題に関し、以下質問します。

 1点目に、インボイス制度に関して伺います。

 消費税にかかわるインボイス制度が来年10月1日から実施されることになり、中小零細業者やフリーランスの事業者を中心に、心配や反対の声が出されています。
 インボイス制度とは、事業者に登録番号を振り、取引ごとに生じる消費税の流れを明確にする制度と言われており、これによって、消費税を支払う事業者が仕入れ税額控除をするために、インボイス登録をした課税事業者からの請求書を受け取らなければ控除そのものができなくなる事態になります。売上1000万円以下の免税事業者は課税業者になるか取引ができないかの困難な選択に追い込まれることになり、廃止や再考を求める声が広がっています。一方、インボイスが無ければ仕入税額控除ができないわけではないとの声も根強くあります。
 そもそも消費税は所得の少ない層により重い負担を強いる過酷な税制であり、私は、導入時も反対であり、消費税を上げるたびに反対を訴えてきました。税制改革の柱は、何より推進性が緩和されていきた富裕層や高額所得者の所得への累進課税の適正化に置くべきであることを再度訴えておきたいと思います。

第1に、この制度が実施された場合に、市内事業者にどのような影響があると考えているか、市長の見解をお聞かせください。
第2に、制度実施に関して、事業者の声を政府に伝えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 2点目に、生活困窮者支援に関して伺います。

第1に、物価高騰への給付金に関してお尋ねします。武蔵野市電力・ガス・食料品等価格高騰緊急支援給付金に関しては、すでに通知が送られていますが、非課税世帯及び家計急変世帯の給付される世帯の見込み数をお尋ねします。
 また、家計急変世帯を把握し申し込みを促すための方法について、お聞かせください。
第2に、新型コロナに関する特例貸付の終了に伴う問題に関してお尋ねします。市民社会福祉協議会が窓口となっている新型コロナウイルス感染症に関する特例貸付は、9月末で終了し、福祉公社が窓口となっている住居確保給付金・自立支援金事業のコロナ特例もそれぞれ今年12月までで終了することになっています。コロナ特例の重要な資金貸付や給付が終わることになりますが、貸付の全件数は何件になっており、返済が困難な事例は何件とみているのか、見解を伺います。
また、返済困難な方に対して、どのような対応をする考えか、市長の見解をお聞かせください。
第3に、ひとり親家庭への支援に関してお尋ねします。ひとり親の場合、法的に離婚が成立している場合と離婚が成立していない場合の双方があります。先日、離婚が成立していないが、ひとり親として子どもを養育している方から相談を受けました。受けているサービスの中で、ひとり親家庭としての対応もあれば、そうでなく世帯収入による対応もあるとのことでした。本市でも、法的にひとり親でない家庭に対しては、法的にひとり親である家庭と同様の支援がある場合とそうでない場合の両方があります。この支援を受けられないケースにどのような内容の対応があり、その理由は何によるものかをお聞かせください。また、今後、法的にひとり親となっていない、離婚が成立していない家庭でも、ひとり親の場合は支援を行うべきと考えますが、見解をお聞かせいただきたいと思います。

 3点目に、生活保護に関して伺います。

 生活保護の利用は、生活に困窮した世帯にとって、セーフティネットの中心となるべき、重要制度で、必要な方がためらことなく利用できることが、きわめて重要であると思います。
 質問は2点です。

第1に、生活保護利用者にかかわる扶養照会について、過去3年間、利用者本人の意思確認をどのような方法で行ったのかという点と扶養照会の中で扶養につながった件数をお尋ねします。
第2に、生活保護利用者のうち、過去3年間、無料低額宿泊所にまず入居した人は何人で、全体の何%か、お尋ねします。
滞在月数は何か月になるかについても、お聞かせください。

 最後、4番目に、境山野緑地の生物多様性を促す取り組みについて、質問をします。

 武蔵野市は、都心に近い立地でありながら、まちのあちこちに公園があり緑の木陰を楽しむことができ、散策する人・訪れる人に、憩いと安らぎをもたらし、まちの魅力をつくっています。
 境4丁目の境山野緑地も、重要な緑の空間となっており、この境山野緑地の南側にあり独歩の森と呼ばれている区域の一部に、今年3月、ナラ枯れへの対応として樹木を何本か伐採し、ドングリを播く作業を多くの市民が行いました。
 11月12日には、その後のようすを見学する会があり、私も参加しました。ドングリを播いてから約8カ月で、約4割が芽をだして樹木として育ちつつあり、バッタや蝶、鳥や爬虫類など多様な生き物の姿が見られていることも聞くことができました。植物の生命力に驚くとともに、独歩の森で、生物多様性が息づき促進されていることを強く感じました。一方で、ナラ枯れ対応による樹木の伐採をしていない場所も独歩の森には存在しています。高木となった樹木は、かつてのように近隣で薪として利用することもありません。樹高が高くなった樹木の更新をどのように行い、森を育てていくかを、考えていかなければと改めて思いました。
 こうした状況をふまえ、以下質問します。

第1に、ドングリ播き後の現状・生物多様性に与える影響に関して、伺います。
第2に、今後、今回ナラ枯れ対応をしなかった地域に関しては、樹木更新の作業をどのように行う考えか伺います。