PPPによるまちづくりは、このままでいいのか?公共用地の企業への開放~武蔵境駅北口市有地活用をめぐって~

3月議会全体を通して、武蔵境駅北口の市有地活用に、PPP(Public Private Partnership パブリック・プライベート・パートナーシップ)いわゆる公民連携手法で行うことに対して、多くの質疑がかわされました。テレビでも放映され関心が高まっています。

この公有地活用に関するPPP手法拡大は、政府が進める規制緩和の一環ではないのか、しっかりと検討する必要を感じています。

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PPPによる武蔵境駅北口

市有地活用の概要と経過

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計画の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

この事業は、武蔵境駅北口の線路すぐわきの市有地600.19㎡を市がPPPによって「民間のノウハウと技術・資金を最大限に活用すること」を目的として、民間企業に定期借地権(30年間)で貸し出し、企業が建物建設・施設管理等を行うというものです。公民連携の民は、市民でなく民間企業の民です。市の公募型プロポーザルに対して6つの企業グループが応募し、優先交渉権者の決定が昨年11月16日市議会総務委員会で報告されました。

提案内容は、以下の通りです。

1階:カフェ・クリニック・薬局

2階:武蔵境市政センター・体操教室

屋上:バーベキューガーデン

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この内容に対し、これまで武蔵境の街づくりにかかわってきた方をはじめ、医療関係や・建築関係者など多くの市民から、疑問の声が上がりました。バーベキューガーデンの是非・クリニックの休日診療のあり方などに、疑問を持たれるのは理解できます。

これまでの街づくりでは、武蔵野プレイスの建設にあたって、コンセプト・規模・費用・内容など多くの市民と一緒に何年間も意見交換を重ね計画を作ってきました。それに対して、今回はPPPという手法で進めたことが、市民参加を極めて限られたものとしてしまいました。また、議会の計画への議決も必要とされません。(建設費に税金を使わないので2017年度予算案には市政センター移転関連経費が計上されただけです。)私自身も、昨年度の予算委員会など議会で十分な質疑をするべきだったと反省しています。

今回の市有地活用は現在の法律では問題があるとはいえず、市政センターを駅前に移転することは市民にとって利便性が高まることから、予算案にある市政センター移転関連の項目に私は賛成しました。

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政府の進めるPPPは、公共財産を利用した

私的企業への過大な利益供与にならないのか

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そもそもPPPの手法そのものが、公有地の活用に関して、議会の議決などの関与や市民の計画策定への参加に制約を課すという制度的な限界があります。今政府は、新たにPPP推進のための法律を準備しています。これは、公有地を私的企業の利益追求のために提供することにならないのか、私的企業が他の事業より高収益を期待して参入することにならないのか、大きな疑問があります。

総務省は、2014年に発表した「公共施設等総合管理計画策定にあたっての指針」で「PPP/PFIの活用について」を明記しています。2015年に内閣府も「多様なPPP/PFI手法導入を優先的に検討するための指針」を公表しており、全国の自治体は、こうした国の方針への対応を迫られているのです。

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今後のPPP活用に際しては、議会の議決・

計画策定への市民参加などの検証を!

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2017年度の予算案には、今後2件の市有地活用に関する公民連携の可能性も含めた調査費が計上されています。

議会での質疑では市長や担当部長からは、「PPPという手法を市民に理解していただくのが難しかった」という趣旨の発言がありましたが、説明の仕方だけの問題ではないと思います。

どのように議会の関与ができるのか、市民参加はどのように行うのか、PPPの手法と企業の利益の問題をどう折り合いをつけるのか、いくつも課題はあります。

したがって、2017年度に予定されている2件の市有地活用に関してPPP活用の可能性も調査していくのであれば、まずは立ち止まって今のPPPのあり方を検証する・課題を議論するのが先ではないでしょうか。