簡易宿所「(仮称)三鷹ゲストハウス」の営業に関する陳情が、本会議で採択されました

6月27日市議会本会議で、簡易宿所「(仮称)三鷹ゲストハウス」の営業に関する陳情が、全会一致で採択されました。私も賛成討論をしました。以下、報告します。

<陳情の内容>

  この陳情は、旅館業法に基づく簡易宿所「(仮称)三鷹ゲストハウス」が東京都多摩府中保健所に営業許可申請を出したことに対し(場所は緑町の商店街)、このままでは安全安心な環境を保てない恐れがあるとして、近隣住民の方が概略以下のような要望をしたものです。

①東京都に対し、再度事業者の適格性の審査を行うよう武蔵野市から求めること

②再度、事業者代表取締役出席のもと、説明会を開催するよう、東京都に指導を求めること

③開設された場合、防犯カメラ増設、宿泊者の動線規制、警察官巡回頻度の見直しなどを武蔵野市から関係機関に求めること

④民泊並びに簡易宿所開設にあたり、事業の規制となる条例の制定をすること

*ちなみに、簡易宿所は民泊とは異なる形態の宿泊施設です。

<陳情提出以降の経過>

これに対し、6月19日の総務委員会では「陳情文中の個別の項目については、慎重に検討を要するものもあるが、市は全体の趣旨に沿うよう住民の安全安心のため尽力されたい」との意見を付けた採択となりました。

また、武蔵野市長名で、6月7日に保健所に対し、住民の理解が得られるまで慎重な対応を求める文書も提出したことが、委員会で報告されました。

なお、その後、保健所からの営業許可はすでに出されていることが明らかになりました。

<私の賛成討論>

私は、6月4日付の近隣の青少協委員長や小中学校PTA会長の皆さまからの意見書を読ませていただき、説明会における事業者の対応が大変不誠実なものであることがわかり、住民の皆さまが強い不安を感じるのも当然であると理解できました。

~市の対応について~

一方、旅館業法に基づき簡易宿所開設の許可権限が武蔵野市でなく保健所にあることから、行政として直接対応が困難であったことは理解できますが、もう少し踏み込んだ対応があったほうがよかったと感じています。

旅館業法に基づく不許可処分の要件のうち、

「施設の設置場所が、学校教育機関等の100メートル以内にある場合、清純な施設環境が著しく害されるおそれがあると認めるとき」【旅館業法第3条第3項】

に関しては、具体性に欠けるものであり、明確にするよう市として求めるべきではないでしょうか。そもそも、東京都が保健所を減らしてきたのですから、保健所の無い自治体に対し、処分の具体的な根拠を示すのは当然と思います。

~意見付き採択は適切~

陳情の要望の③にある、防犯カメラ増設や・宿泊者の動線規制については、総務委員会の議でにもありましたが、市の権限で実施できる根拠がありません。また、事業者の対応に関しては、大きな問題を感じますが、宿泊者に対して、動線の規制まで踏み込むのはいかがなものかと考えます。したがって、意見付での採択が私も適切であると判断します。

また、関連して、いくつか見解を述べておきたいと思います。

~フロント機能について~

この簡易宿所には、フロント機能がないことが明らかになりました。これは現在の法律では違法とされないのでしょうが、ごみの出し方や深夜の騒音で宿泊者と近隣住民とのとトラブルが起きている例が、民泊をめぐっては多数起きています。また、フロントがないことで、地震・火災などの災害時に、宿泊者の安全確保や初期消火の徹底などどうしても不十分となる恐れがあります。この点は、近隣住民・宿泊者双方の安心安全のために、何らかの対応が求められる点であると考えています。

~貧困ビジネスへの転用の恐れについて~

さらに、今後、オリンピック・パラリンピック需要が一段落した際、例えば、短期宿泊者でなく、長期にわたって住まいとして利用することを目的とした貧困ビジネスへと転用される恐れもないとは言えないことも憂慮しています。こうした点についても、関係機関と常に連携を保ち、必要な助言・指導、場合によっては立ち入り検査をお願いしたいと思います。

営業許可がすでに出された以上、事業者には、周辺の商店や住民との良好な関係を築くよう願っています。

~市による規制は必要不可欠~

今回の陳情の要望の④には、簡易宿所や民泊を開設する事業者への規制条例制定が求められています。残念ながら、今後条例改正や新規条例の制定ができても、今回の案件にさかのぼって適用はできません。しかし、武蔵野市においてしっかりとした規制は必要不可欠と考えます。

総務委員会の答弁でも、9月議会で対応する方向が示されました。武蔵野市旅館レンタルルーム規制条例の改正なのか新規の条例制定かは明らかではありませんが、近隣住民にとっても、宿泊者にとっても利益になるものです。事前説明のあり方、地域の限定、フロント機能の問題など、論点はいくつもあると考えますが、宿泊される方が海外からの方であるかどうかを問わず、友好的関係を持てるような環境作りが必要です。

市の制定する条例が、住民の安心安全に貢献するものとなるよう期待して賛成討論といたします。

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