来年度予算案への討論です~3月28日本会議にて~
3月28日の本会議で行った来年度予算への賛成討論の原稿をそのまま掲載します。
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会派「空」を代表し、来年度の一般会計・特別会計・水道事業会計に対する賛成討論を行います。
◆来年度は、第5期長期計画調整計画の初年度に当たります。
武蔵野市の財政はきわめて堅調であり、人口も子どもの出生数も増えている恵まれた状況にあります。しかし健康福祉分野などを除き、新規事業に乏しい予算案でした。
◆今回の予算委員会の最大の争点は、来年度から5年の計画期間の「武蔵野市公共施設等総合管理計画」と、来年度策定予定とされている「学校施設整備基本計画」(仮称)でした。
公共施設等総合管理計画は、健康・福祉施設、子ども・教育施設、文化・市民生活施設、行政施設等を対象施設とする計画で、質疑の中で「今年5月の策定をめざしている」と答弁がありました。この計画案の目標の中には「公共施設においては、統廃合・複合化・転用等に取り組み、総床面積の縮減等で30年間で約180億円の歳出削減を図る。」とあります。公共施設の51%を占める学校施設がこの削減の対象にならないわけがない、つまり削減する計画に縛られるのではと私は質問しましたが、五十嵐副市長
は「枠をはめるのかと言われるとそうではない」と前置きしつつも「全体的な方針・計画として公共施設等総合管理計画を出すわけですから、当然それを無視した形で類型別の計画を作ることはありえない」と答弁されました。学校施設の削減についても可能性を否定しなかったと理解しています。
また、この計画は、類型別施設整備方針に「日赤伝染病棟の資産譲渡」、「コミュニティセンター施設の複合化」「消防分団詰所の学校へコミセンへの移転」などの検討が記載され、具体的な書き込みが多く、まだ計画案の段階とはいえ関係部署との十分な調整が必要と考えます。
さらに言えば、この計画案については2月に市民向け説明会がありましたが参加者はわずか26名と少なくパブリックコメントも4件と、市民への周知はまったく不十分です。
したがって、この計画は凍結すべきです。
一方、3月になって、「武蔵野市小中連携教育推進委員会報告書」が提出され、施設一体型の小中一貫校の提案がありました。この報告書と密接な関係のある「学校施設整備基本計画」(仮称)が教育費の中に600万9000円計上されていましたので、市民や議会に周知・説明が十分でないにもかかわらず、基本計画を策定することは、学校の統廃合につながる小中一貫校推進の恐れがあると考えました。
そこで、公共施設等総合意管理計画の策定を5月を前提とせず、学校施設整備計画も来年度内策定を前提としないよう求める付帯決議を委員の皆さまに提案し、全会一致で付帯決議をつけることができました。この議論はとても貴重だったと思います。しかし、翌日に教育委員会はむさしの教育シンポジウムのチラシを議員に配布するなど、議会での議論を尊重しない手法をとっており、これにはおおいに問題があるといわざるを得ません。きちんと立ちどまって、市民や議会と議論し、決議を尊重すべきことを強く訴えます。
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以下、款ごとに評価と課題を指摘いたします。
◆まず、総務費です。
マイナンバーの個人番号カード使用によるコンビニでの証明書交付が来年度予算に計上されて、質疑によれば住民票の写し・戸籍の全部事項個人事項の証明・課税証明書を想定しているとのことでしたが、これには反対です。
マイナンバーそのものが記載されている個人番号カードを外出時に携帯することは、落としたり・盗難にあったりと様々なリスクがあります。総務省は、個人番号カード利用促進のためコンビニでの証明書交付を進めていますが、預貯金口座・健康診断情報・予防接種履歴などとの結びつけを可能とするマイナンバー法改正が昨年の国会で成立しており、情報漏洩による被害は深刻になります。実施は見合わせるよう、再考を求めます。
また、幼稚園の預かり保育拡充試行がレベルアップ事業として予定されています。保育園の3歳の壁対策として、預かり保育が一定のニーズが有ることは理解していますが、それは保育園の入所が過酷な事から「幼稚園なら入れるのでは」、「お庭のある・同学年のお友だちのいる環境で幼児期を過ごさせたい」などの希望を持ってる方がいるからとも伺っています。預かり保育は、昨年度で年間のべ38179人の実績があり、この拡充策で、従来の幼稚園利用者への負担が増えることのない対応を望むとともに、補助金の拡充も検討すべきです。0歳から5歳までの認可保育園を増やすということが本来自治体の実施すべきことと強く訴えたいと思います。
家庭保育の方・幼稚園利用者と保育園利用者の間での不公平感や摩擦を産まない丁寧な対応を求めます。
◆次に民生費です。
高齢者福祉の分野では「いきいきサロン」事業の創設、事業内保育所併設の特別養護老人ホーム建設補助など、意欲的な新たな事業が予定されており高く評価いたします。
障害者福祉分野でも、重症心身障害者(児)在宅レスパイト事業やグループホーム防火対策補助などきめ細かい新規事業が始まることは当事者やご家族の期待に応えるものと思います。
2015年度から改悪された介護保険制度の実施が始まりました。独自財源や事業所の数などに乏しい地域では、明らかにこれまでの介護を受けられない方が出ています。武蔵野市で、国の制度改悪に対し、在宅においても施設においても、介護の水準を下げない取り組みをさらに充実されることを期待しています。
そして、保育園の待機児対策について申し上げます。「保育園落ちた!日本死ね!」というブログに多くの保育園入所を望む親たちが強く共感し、署名集め・国会前での訴えなど行動が広がりました。私も保育園入所活動をしている方にブログの感想を伺ったところ皆さん一様に「その通り」「ほんとに私の思っていたこと」とおっしゃっていました。
私は、子ども子育て支援新制度に見られる保育の分野での規制緩和は保育の質の低下をもたらす制度だと考えています。政府は、この制度の問題点をきちんと検証し、これ以上の規制緩和ではなく、自治体が認可保育園を増設できる体制を整え、保育士の待遇の改善を行うこと、そのための予算措置こそ、行うべきではないでしょうか
武蔵野市の待機児をめぐる状況は、第一次の利用調整で、募集人数549人に対し1159人が申し込み、半数以上が希望の認可園に不承諾となりました。今年4月の待機児童は昨年よりも増えることが、市長の答弁で明らかになっています。
とりわけ、吉祥寺地区は、認可保育園が2園しかなく、小規模・認証保育所とも少ないため、明らかに他の地区より保育園に入れなくなっています。兄弟ポイントが無くなったことも影響して、南保育園では2子以降の子どもの保育園が決まっていない方が、15人もいると聞き、とても驚きました。
来年度予算で、1年後の認可保育園2園増設が計上されていることは評価できますが、これだけで待機児は解消できるでしょうか。かりに認証保育所の認可化だけなら多くの定員増にはつながらないと思います。何よりも、今保育園を求めている方が、1年後まで育児休業の延長等で待てるでしょうか。
子どもの預け先が見つからず仕事を断念する・引越しを迫られるなどの事態に追い込まれる方を無くすよう、市の持っている土地の利用も含めて、新規認可園の増設と吉祥寺地域など少ない地域での拡充を強く求めます。また、年度途中での緊急対策も必要である事を訴えたいと思います。
さらに、認証保育所と認可園との保育料の格差是正についてです。2015年度から新しい制度になり格差是正は進みました。現状で、第2子以降の保育料の減免・認可園と認証保育所で保育の基本時間が異なることによる、延長保育の負担が認証保育所で大きい事などを是正してほしいとの声を伺っています。ここ数年で認証保育所も増え、大きな役割を果たしていますので、この点でも更なる制度拡充をお願いいたします。
子育て支援の最後に、児童館について指摘します。市長はしめくくり総括質疑での私の「待機児解消を平成28年度・29年度の2ヵ年で行うのであれば、現在緊急待機児対策として使用している桜堤児童館の2階について、この期間で移設先を用意して、児童館として復旧するべきでは」との質問に「連動して行う」旨の答弁がありました。現在の利用者への広報も必要ですから、ぜひ2年間で復旧できるよう準備を進めていただきたいと思います。
◆次に衛生費です。
武蔵野市は、放射能汚染対策・脱被曝対策については、給食食材のゲルマニウム半導体測定器による検査をはじめ、空間線量・水道水の検査に加え、空間線量計の市民への貸し出しも実施しており、全国でもトップレベルの放射能汚染対策として市民から高く評価されています。来年度予算案における事務事業の見直しの中で「状況の変化を踏まえ、段階的に縮小していく」とあり、市長にその考えを伺ったところ「すべてをやる意義がこれからあるのかどうかについては再度検証してもいいのでは。・・・具体的に何をということはまだ決めていない。」との答弁でした。
私は、これ以上の縮小に反対です。この政策は武蔵野市がしっかり行っていることが、他の自治体の政策にも影響を及ぼしています。現状の測定体制の継続を求めます。
◆次に商工費です。
創業支援事業については、市内のインキュベーション施設運営への補助を含めて、事業拡充を評価いたします。個性や主張のある店舗や企業が増えることは、まちづくりにも新しい力をもたらすと思います。起業に意欲のある女性や若者が利用しやすい制度になるよう期待しています。
◆次に土木費です。
住宅確保要配慮者住宅確保事業の創設を評価いたします。私は、5年前4期目の当初から、一人暮らしの高齢者が賃貸住宅に入居することが困難になっており、その理由として、万が一入居者が死亡した場合の葬儀や家財の整理等が、貸主に負担となる事等がありました。2015年度から福祉公社のつながりサポート事業として「没後支援サービス」が始まっています。ぜひこの福祉公社の事業や、市の福祉部門との連携及び不動産業界の皆さまへの周知を進めていただき、住宅困窮者の力になることを期待し、見守っていきたいと思います。
まちづくりについて申し上げます。この3月で武蔵境の駅前広場も完成し、中央線の高架化・区画街路の整備・スイングや武蔵野プレイスなどの施設整備など南北一体のまちづくりのハード面での施設整備は一段落しました。街は便利にきれいになりました。今後、農地・果樹園・花の通学路などの緑、武蔵野プレイス・市民会館・スイングなどの施設を活かし、大きく増えた若い世代のまちづくりへの参加を進めるなどの課題に対し、しっかり取り組む仕組みが必要と思います。新しいステージへともに歩んでいきましょう。
◆最後に、教育費です。
はじめに、武蔵野市の給付型の奨学金制度はぜひ維持していただきたいと要望します。
3月の文教委員会で行政報告のあった「小中連携教育推進委員会」による<施設一体型小中一貫校>の提案は、小学校・中学校の6・3制を初志科・立志科・大志科(仮称)の4・3・2制の義務教育学校へ再編し、5年生から教科担任制とし、1年生から初歩的な英語教育を行う、新たに武蔵野市民科(仮称)の新設などが記載されており大変驚きました。
報告の内容について意見を申し上げます。
提案理由にあった「いじめや不登校を減らすことに効果がある」などの点は十分な検証が必要であると思います。データも乏しく説得力にかけています。科目を増やせば授業時間も、子どもの負担も増えるのではないでしょうか。受験に対応する名目で小学生段階から競争的指導になり、配慮の必要な子どもへの対応がおろそかになりはしないでしょうか。
結局のところ、公共用地や施設管理費等の削減を目的に、子どもたちが狭い敷地に詰め込まれ、本来のびのびと子ども時代を過ごせる小学生時代が短くなり、教師がさらに多忙になるのではないでしょうか。
先日境南小学校の卒業式に参加しました。6年生と5年生が向かい合ってメッセージを述べるフロア形式で、子どもたちの成長が感じられ感動しました。6年生が小学校の最高学年として様々なことに取り組み、リーダーシップや責任感を培っていることを目の当たりにできました。4・3・2制では、こうした成長の場も奪われてしまうのではと感じます。
さらに、学校は、児童生徒の学びの場ですが、地域コミュニティ形成や災害時避難場所など、地域にとって重要な役割があり、かりに統廃合となれば、地域コミュニティーの衰退にもつながります。
何人かの保護者から意見を伺いましたが、教育委員会の提案の内容もわからず、判断材料ももたず、説明が足らないと思っている方がほとんどでした。
したがって、報告書を規定方針とせず、市民や議会と真摯に対話をするべきであることを強く求めます。
4月23日のシンポジウムのように小中一貫校推進の考えを広報するだけでなく、違う角度からの専門家の話も公平に聞く事のできる開かれた協議の場が必要です。
予算委員会でたびたび訴えましたように、付帯決議にもありますが、学校施設整備基本計画の来年度内策定を前提としないでいただきたい。文部科学省が各自治体に要請している政策に乗り遅れないようにと考えないでいただきたいのです。
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最後にもう一度申し上げます。
かつて介護保険制度導入のおり、武蔵野市は、霞ヶ関の役人の机上の空論から出された政策でなく、住民の生活の現場から問題点を指摘し、対案を示すという気概を持って、導入に疑問を持つ多くの自治体を励ましました。
今、子どもの教育・保育・介護などの予算が削られ、貧困や格差が広がっています。
武蔵野市のしっかりとした財政基盤・すぐれた人材・市民の活動の厚さなどを活かし、武蔵野の特色に磨きをかけ、よりよい市政をつくりましょうと訴え、賛成討論といたします。