原発事故自主避難者への住宅支援継続を求める意見書が、3月28日全会一致で採択されました!原発事故避難者への支援は他の困窮者と比べて「特別扱いしすぎるのもどうなのか」との質問が意見書の提案に対してありました。

原発事故避難指示区域外避難者への住宅支援を求める意見書は、私が筆頭提案者となり、民主生活者ネット・共産党の賛同もいただき共同提案をいたしました。3月28日の本会議で反対者なく全会一致で採択されました。関係機関にも送られ、市議会だよりにも掲載されますので、意義のあることと思います。

しかし、私の意見書の提案説明に対し、竹内まさおり議員(むさしの志民会議)がいくつかの質問をされ、採決に際しては竹内議員・下田議員の2名が退席されたことはとても残念であり、質問された内容も私としては避難者の実情に無理解で、問題のある内容と感じました。

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竹内議員との質疑を報告します。(3月28日本会最終議題での質疑です。議会のホームページで動画をご覧いただけます)

◆竹内まさおり:記書きの2番です。東京都は、都営住宅などの入居要件を緩和し、支援から外れる自主避難者が出ないよう配慮するとあります。盲目的に支援・サービスの増大を求めることは、行政の肥大化・大きな政府へつながる危険性をはらんでいると考えますが、いかがでしょうか。

◆山本ひとみ:東京都の都営住宅に関して優先入居枠を避難者団体や当事者の求めに応じて東京都は設定いたしました。東京都で言えば、募集戸数が300戸、応募者192戸、決定数166世帯です。これに関しては、収入要件や世帯要件があって、申し込みたくても申し込めなかった方がいらっしゃるのです。世帯要件で言えば・・・・(紹介)6類型があるのです。・・・・原発事故があってやむなく避難してきた方に関しては、必要があるということはお考えになりませんか。そういった入居要件の緩和によって・・・・入居ができて生活が安定するということに対して、東京都はこの支援対象をきめる権利があるわけだから配慮してほしいと。ただ、公営住宅ですから、基準が何もないというわけにはいかないから、基準の緩和に関して検討してくださいというふうに言っております。ぜひご賛同ください。

◆竹内まさおり:・・・こういった避難者だけではなく、地方・田舎に仕事がなくて、仕方なく、やむを得ず上京して働いて暮らしている人たちもいらっしゃいます。なので、避難者たち、事故だからというので特別扱いしすぎるのも、やはりどうなのかなというのがあると思います。地方が衰退している理由も国にあると私も思っておりますし、今年で支援7年目に入るのですから、・・・ある程度一定の条件を備えるというのも、しごく当然のことなのかなと思うのですけれども、そこら辺の、原発事故に限らず、仕方なく上京してきて働いている人たちへの差をつける、もう少し具体的な理由というものをお伺いしたいと思います。

◆山本ひとみ:大変いろいろなものを混同された、しかも原発事故避難者の実情に対して、率直に言って無理解な発言がありまして、私としては大変遺憾に思っております。原発事故がなければ、その方たちは避難しなかったわけです。もちろん、日本全国でそれこそ貧困問題というのはあります。別の理由で、高齢だったり、障害だったり、病気だったりして、仕事を失ったりして貧困に陥る方がいらっしゃいます。それはそれで政府が手立てをするべきだと思いますが、この意見書は、ここに書いてあることに関して、これが妥当かどうかという判断を議員に求めるものなのです。・・・自分が引越ししたくて引越ししたわけではない自主避難者の方たちの中で、困窮する人が生まれる可能性があるし、実際そういう声も何件も聞いています。その人たちに対して政治ができることをやっていこうという、これからのことをここに提案していますので、そのようにご理解いただきたいと思います。

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私が最も驚き、愕然としたのは、「事故でなく上京している人もいるのに、原発事故避難者が特別扱いされているのは、どうなのか」との意見です。日本全体で格差と貧困の問題は深刻ですが、原発事故の責任は国と東京電力にあることは明らかです、生活困窮者への支援が十分でない今、避難者との対立を大きくする恐れのある発言と思います。

今村復興大臣の避難者への暴言が大きな問題となっている今、竹内議員の発言も政治家としてきわめて問題があると言わざるを得ません。しっかりと避難者や被災地の実情に向かい合っていただきたいと思います。

私は、引き続き、原発事故避難者が安心できる住まい・安定した生活を確保できるよう、政府や自治体に要請を続けてまいります。

***以下、採択された意見書の全文です。************

原発事故避難指示区域外避難者への住宅支援の継続を求める意見書

2017年3月末で、福島第一原発事故による避難指示区域外からの避難者(以下「自主避難者」という)に対する住宅支援が打ち切られる。東京電力などからの定期的な賠償を受けられない自主避難者にとって、住宅支援は唯一の支援策であり、多くの自主避難者は、住宅無償提供打ち切り後の避難生活の継続に不安を抱えている。また、避難した方々に心ない嫌がらせや子どもへのいじめ問題も各地で起き、避難者であることを公表することが難しい場合も少なくない。

東京都は、自主避難者に向け都営住宅の優先入居枠を設けたが、収入要件・資格要件が厳しいために応募する資格が得られない方も多数である。福島県の意向調査や支援団体による避難者からの聞き取り、報道などによれば、相当数の人が住まいを見つけられず、住宅が見つかった場合でも、転居費用や新たな家賃負担で貧困に追い込まれている。

武蔵野市でも、都営住宅・民間賃貸住宅・一般家庭に、福島県から54世帯116人(本年1月末現在)の避難者がお住まいになっており、住まいに困窮する世帯が出ないよう政府・東京都には配慮が求められる。

現在、避難者を受け入れているいくつかの自治体では、独自の支援策が打ち出されているが、すべての自治体ではなく、支援内容も格差がある。また、原発事故当時、自主避難者は、都営住宅・国家公務員宿舎・雇用促進住宅などの公的住宅や民間賃貸住宅や一般家庭などに住まいを移したが、公的住宅のどこに住むかの選択肢は無かった。したがって、避難先や入居した住宅の種類によって格差が生じることに対して、政府が「住まいの確保」に努めるべきである。

よって、武蔵野市議会は、政府及び東京都に対し、自主避難者の不安を解消し、住まいの確保に万全を期すため、以下を強く求めるものである。

1.東京都は、自主避難者への転居費用や家賃補助などの経済的支援を早急に実施すること。

2.東京都は、都営住宅などの入居要件を緩和し、支援から外れる避難者が出ないよう配慮すること。

3.政府は、民間賃貸住宅に住む自主避難者が居住の継続ができるよう、自治体のサポートに関わる措置を講ずること。

4.東京都は、小さい子どもがいる世帯や母子避難世帯などで、経済的な困難を抱える自主避難世帯の実情を丁寧に聞き取り、配慮ある支援を行うこと。

5.政府は、継続した避難者支援のための法整備を行うこと。

以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。

内閣総理大臣

総務大臣

経済産業大臣

環境大臣

復興大臣

東京都知事

あて