武蔵野市男女平等の推進に関する条例が、3月14日市議会本会議で全会一致で可決されました!
3月14日の武蔵野市議会本会議で、「武蔵野市男女平等の推進に関する条例」が全会一致で可決されました。
議場には、条例制定に向け努力をされてこられた市民の方々が、傍聴に来られ採決を見守っておられました。
これまでの経過を振り返り、感無量でした。
以下、私の討論原稿に見出しをつけて、そのまま掲載します。
(なお、実際の討論では、少し言い回しを変えたところがあります)
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「武蔵野市男女平等の推進に関する条例」に対し賛成討論を行います。
<条例の内容>
この条例は、総則で目的や言葉の定義を示し、基本的施策や男女平等推進審議会・苦情処理委員会の設置も明記しています。
前文では「今なお、性別等による固定的な役割分担の意識、当該役割分担が反映された社会的慣行、性別等に起因する暴力、政策等への参画格差、賃金格差、教育格差等、多くの課題が残されている。」との認識のもと、第2条定義で「全ての人が、性別等にかかわりなく、その人権を尊重しつつ、社会の対等な構成員として、自らの意思によって、あらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって平等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、責任を分かち合うことができることをいう。」と男女平等の内容を明らかにしています。
また条例改正に伴い、武蔵野立男女共同参画推進センターも武蔵野市立男女平等センターへと名称変更されることも合わせて提案されています。
<条例の内容と制定過程で評価できること>
私が今回の条例提案で何よりも評価したいのは、男女共同参画条例でなく「平等推進」条例であることです。
私は、めざすべき社会の姿が「男女平等社会」であり、そのために必要な施策・過程として男女共同参画があると考えています。しかし、現在の国の男女参画社会基本法でも、名称は共同参画であり、第2条定義でも「均等」という言葉が使われています。このことを踏まえれば、武蔵野市が国よりも一歩進んだ条例を提案したものと高く評価しています。
また、条例の内容のみならず、制定過程も、多くの市民の意見を聴取し市民参加・市民との協同で条例案が策定されたことも、とても評価できると考えています。
私は、男女平等にかかわる条例の制定を何度も一般質問で訴えてきました。2015年9月議会の一般質問では、「多摩市女と男の平等参画を推進する条例」の名称や前文・目的を定めた条文を評価し、武蔵野市らしい、実効性のある条例制定を求めました。2015年12月の「武蔵野市男女共同参画推進センター」に関する賛成討論では「名称について言えば、欲を言えば、男女平等推進センターであれば、もっと主張が鮮明になったという思いがあります。」と意見を述べさせていただきました。こうした議会からの提案も適切に受け入れていただいたと考えています。
<残された課題>
残された課題について2点申し述べたいと思います。
この条例案では、苦情の申し立ては「市民及び事業者は、市に対して苦情を申し立てることができる」とあります。私は、苦情申し立ての対象を市と限定することなく、民間事業者も含めるべきと意見を申し上げてきました。なぜなら、女性差別は行政のかかわる事業のみならず、民間の事業所・家庭内において顕在化することが大いにあるからです。こうした差別事例に、裁判手続きによらない苦情処理ができれば、多くの苦しむ女性の希望になると思っています。
この件では、総務委員会で「相談という形で受けて、労働基準監督署など関係機関につないでいく」との答弁がありました。私も子どもを授かったとき、出産後も働きたいと思い、会社に「ミルクタイム(授乳のための時間)取れますか?」と聞いて時短勤務を希望しましたが、「そんなことを言ってきた人はいない」と言われました。今から考えれば中小零細企業で、従業員の時短勤務を認めるのは、経営上の問題もあったのだとは思います。企業側を責めて終わりにはならない構造的な問題があります。しかし、それでも、民間企業におけるかつての女性だけの若年定年制などに異議申し立てをし、待遇改善を進め国の制度へとつないでいった諸先輩の努力を思えば、行政だけでなく民間企業における差別に対しての苦情処理については、今後の課題の一つとしていただきたいと要望いたします。
LGBTの方たちの人権尊重にかかわる制度・施策との関係です。この条例では「多様な性のあり方に対する理解を深めることで・・・」との文言が前文にあります。私は、男女平等とLGBTの方たちの人権尊重は、どちらも重要な課題であり、重なっている面もあるが別の領域の課題と考えています。このことを踏まえ、自治基本条例等での包括的な差別禁止・人権尊重の規定や、LGBTの方を対象とした条例も検討していただきたいと要望いたします。
<これからの歩み・感謝のことば>
男女平等を求める歩みは、今恵まれた先進国の女性の立場の維持向上だけでなく、いわゆる発展途上国の貧困状態の女性の権利の擁護と生活の向上と不可分の課題として進んでいます。
条例前文にもありますが、いまだ女性を取り巻く環境は男女平等とは遠く、労働の分野でも厳然とした賃金格差があり、ひとり親家庭の貧困があり、DV・ストーカー行為等による人権侵害事件も後をたちません。こうした女性の状況を変えていくためにこの条例が役立ってほしいと切に願います。
最後に、この条例制定に至る多くの過程で、粘り強く調査し、議論を重ねてこられた市民・担当課の職員など多くの関係者の皆さまに、大きな感謝を申し上げます。これからも市民との協同が何より大切です。この条例を生かし育て男女平等社会に向け歩んでいきましょうと申し上げ、賛成討論といたします。