2021年度決算の認定の結果と賛成討論

2021年度決算の認定の結果と賛成討論

9月28日は9月議会最終日。
私は決算賛成討論をしました。

26人の議員の採決結果を報告します。
なお決算の内容は、一般会計・特別会計・事業会計ですが
議案としては一般会計と特別会計は一つの議案。
事業会計は水道・下水道の2つの議案となっています。

一般会計決算に反対:9人
 内訳:自民党6名(このほか土屋議長は採決に加わっていません)
    会派に属さない議員3名(きくち・下田・品川)敬称略
一般会計決算に賛成:16人
 内訳:公明党3名、ワクワクはたらく2名、民主生活者ネット5名
    共産党2名、自治と共生2名、小さな声を活かす会2名

その他の決算は全員賛成でした。

 討論原稿は以下の通りです********************

◆2021年度決算の概要:堅調な財政

 2021年度決算は、第6期長期計画、そして自治基本条例・議会基本条例の2年目にあたる年でした。
 新型コロナウイルス感染症が本格化して2年目であり、自治体としても独自の対応として都市計画税の半減・くらし地域応援券第2弾を実施しました。
 私自身は、引き続き新型コロナ災害緊急アクションに加入して、困難に直面している方と向き合ってきました。事業が不振になったり、仕事がなくなったり、経済的な困窮が進み、病気で働けなくなるなど、さまざまな困難が、個人の責任でないことを明らかにし、制度や取り組みの創設・改善に向かう必要があることを痛感しています。
 この年度の終りには、ロシアがウクライナに軍事進攻し戦争が始まりました。このことは、国政の行方にも国民の意識にも影響を与えており、戦争によって被害を受けることのない社会の実現は重要なことだと考えています。
 さて、武蔵野市の財政状況ですが、一般会計は歳入約808億円、歳出約770億円、と前年より幾分か減少したものの、基金残高は2021年度末で約511億円と前年度から増加しており、新型コロナ災害が進行したなかでも、財政は引き続き堅調であることが明らかとなりました。
 全国では、格差の拡大に加え、ウクライナ情勢等も影響して物価高騰が大きな課題になっています。武蔵野市では、生活困窮者が大きく増えたということはなく、多様性を尊重するという点からみれば、所得も含め社会に多様な人がいることを知らせ体験していくことが必要です。

◆今回の決算審査にあたり、意見が異なった点・テーマとなった点を中心に3点申し述べたいと思います。

<住民投票条例>
 1点目は住民投票条例に関してです。
 2021年12月21日に行政の提案した住民投票条例案は否決されました。私は、常設型であること・住民投票の参加資格を外国籍市民と日本国籍市民で同じであることなどを高く評価し、賛成の立場をとりましたが、否決となったことを残念に思っています。今回の審査で「賛成派と反対派がいて、市民の中に分断があった」などの意見がだされ、市長は「分断でなく意見の違いであり、民主主義の表れ」と答弁しましたが、私も同意いたします。昨年は、市内で、住民投票が参政権につながるとか、特定の国に乗っ取られるなど、事実でなかったり、制度と関係のない宣伝も繰り返しあったことは大変残念でした。宣伝の中には「外国籍住民に対する誤った見解を主張するものもありました。
 武蔵野市においても、今後差別を解消するための対応を考えておく必要は大いにあると思います。第三者機関が公的な裏付けを持って存在し、差別が疑われる事例があった時に、調査をして、すみやかに是正を促すことが求められています。2021年度には外国籍市民の意識調査がありました。私は、決算委員会で外国籍住民の状況に関し、市税や生活保護受給の面も含め、さまざまな角度から質問しました。現在の制度を考えれば、当然住民投票という形で意思表示ができる制度が必要です。まず、現在進められている多文化共生推進プランの中で差別は良くないことや解消に向けた取り組みをぜひ検討していただきたいと思います。

<吉祥寺駅北口駐輪場の土地売買契約>
 2点目は、吉祥寺駅北口の駐輪場建設に係る土地売買契約に関することです。
 土地購入も土地売却も2021年に行われましたが、必要な駐輪場ができ、市に損害を与えたとは考えていません。私が議員になったころ、土地が高値だった時代に土地購入が続いたことがあります。この件での土地購入も、元市長の時代に行われ、その後暫定利用が続いてきました。目的を明確にしない土地購入がなくなって市財政に良い影響をもたらしたことを評価しています。

<武蔵野プレイス前のトイレ移設>
 3点目は、武蔵野プレイス前の公園の北側部分に設置されるトイレの問題です。
 昨年は、移設されるトイレの設計予算が計上されていました。現在すでに工事が始まっていますが、一部に「1億円のトイレ」という声もあります。私は、障がい者や病気がある方も含め、だれでも使える清潔で安全なトイレが、建物の中でなく公園の一角にあることは、市民をはじめ多くの利用者にとって公園の魅力を、さらに、まちの価値を高めることにもつながると思います。トイレの移設に関して、①休止中の都市計画道路3・4・27号線の計画が変更された場合、道路上にトイレがあるわけにはいかない。②これまでのトイレを改善する陳情も採択され、順次改築されてきたこと、この2点を、費用の内訳とともに十分終始していただくよう求めておきたいと思います。

 昨年、首相の交代はありましたが、国政の役割の変更があるのかどうか注視し、公的な機能・公の役割を重視していくことは必要です。独自施策が可能な自治体であることを踏まえ、引き続き自治体独自の政策を磨くことが大切であることを強調しておきたいと思います。

    ******************

  以下、決算委員会で指摘できなかったことも含め、款ごとに評価と課題を指摘したいと思います。

◆総務費

 新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、2021年9月1日から自宅療養者支援センターとして窓口から機能を拡充し療養者増加に対応したことを評価いたします。
 パートナーシップ制度のための条例が提案され可決したことを評価しています。同性のパートナー関係にとどまらず、事実婚を選択している方にも適用されるすぐれた条例となっており、多くの方の活用を望んでいます。いまだ国政において実現していない異性間の関係にも適用され、たとえば、事実婚を選択している方にも適用されるすぐれた条例となっており、多くの方の活用を望んでいます。
 また、この制度とは一定別の概念として、男女平等をめざしていただきたいと思います。女性の貧困・就労での格差など、現実にある差別を見つめて解消に努めていただきたいと思います。
 婚外子差別に関しては、戸籍における更正・再製について、申し上げます。過去5年間で更正17件だったのに再製がゼロであるのは、差別につながる記載が残ることでもあります。法務省の再製申出の積極的な案内等の姿勢を踏まえ、窓口対応やホームページ等での改善を強く求めます。

◆民生費

 保育園の待機児童が連続してゼロであることを評価します。すべての方が希望する保育園を選ぶことができる社会を期待しています。今後働き方の変化に対応できる保育施設、保育の質の向上にご尽力をお願いいたします。
 また、4つの公立保育園の存続や公立保育園での保育士採用の復を保育の質の維持向上とともに、公的な役割を重視した対応と高く評価します。
 子ども医療費助成の18歳までの医療費助成が開始されたことを高く評価しています。
 高齢者等緊急訪問介護事業(レスキューヘルパー)は、利用者は多くはないのですが、大切な事業であると申し上げたいと思います。
 障がい者への支援は、グループホームなど施設サービスの増設も極めて重要です。医療と福祉の連携とともに一層のご尽力をお願いいたします。
 民生費の最後に、生活保護について要望をいたします。扶養照会は希望者にのみ対応していただき、無料低額宿泊所にかんしては、居室が個室であっても集団生活部分への拒否感はあり、改善を求めたいと思います。

◆衛生費

 エコREゾートに、フードバンク活用団体に提供された食料を保管する倉庫・保冷庫が購入され設置されたことを評価しています。より多くの団体や個人も食料を渡すことができる体制となることを期待しています。
 武蔵野プレイス前の公園の一角にあるトイレの移設のための設計が進んだことを評価します。

◆商工費

 飲食店をはじめ商店への支援がありましたが、収入に認定されれば、税金や介護保険料にも反映します。
 コロナ災害は、お店で購入するものも増え、行動制限などで減少した顧客がただちにすべて戻るわけでもなく、営業状況が厳しいとの話を伺いました。
 コロナ災害の一つの表れであり、工夫した対応をお願いいたします。

◆土木費

 緑と生物多様性の保全について、ナラ枯れに対応した境山野緑地での樹木伐採とどんぐりまきがあったことを評価いたします。
 樹木の更新についても、下草の存在に留意し、今後10年20年後の樹木や景観を考えた対応となることを期待しています。
 もう一点、住まいの貧困への対応について要望いたします。
 住宅確保要配慮者への対応を丁寧にしていただきたいと思います。
 住宅購入は、武蔵野市で高額であり、家賃も決して安くない状況で、他市へ引っ越す方も少なくありません。改めて公的住宅の役割が見直されています。
 生活困窮者への対応を考えれば、家賃補助制度の創設へ検討をお願いしたいと思います。

◆教育費

 オリンピック観戦に児童生徒を動員することが中止になったのは、新型コロナ災害のなかで、必要な判断であり、評価しています。
 学校において、教師の多忙化解消のために、市の講師を増やし効果をあげていることを評価します。
 子どもの権利条例制定に向けて議論が進んでいますが、新しい制度がスタートすれば、教職員の子どもへの対応で今以上に時間をとることもあると思いますので、さらに教育予算を増額するなどの体制整備に あたっていただきたいと思います。
 不登校対策で、スクールソーシャルワーカーの増員・クレスコーレの運営体制の強化を評価しています。前進していると思っています。
 しかし、不登校の児童生徒はますます増えています。昨年度は、小学校68人・中学校119人です。不登校の子どもの居場所の大野田小学校からの移転と拡充、そして経済的支援の導入について、求めていきたいと思います。
  インクルーシブ教育については、やはり障がいがある児童生徒に保護者の付き添いを求められる例があり、課題があると思います。希望する方への通常学級における介助員の配置など、より一層のご尽力をお願いしたいと思います。
 学校は長年続いてきた児童生徒の序列化という考えから自由になっているとは言えません。
 武蔵野市だけが、新しい考えを実践していくことは困難かもしれませんが、教育機会確保法の趣旨も踏まえ、学校だけが学習や生活に場でないことを多くの方に広げていただきたいと思い案す。
 PTAは、任意加盟の団体であることを踏まえ、構成員の意思確認を重視して行っていただくよう要望します。
 学校は長年続いてきた児童生徒の序列化という考えから自由になっているとは言えません。
 武蔵野市だけが、新しい考えを実践していくことは困難かもしれませんが、教育機会確保法の趣旨も踏まえ、学校だけが学習や生活に場でないことを多くの方に広げていただきたいと思い案す。
 給食に関しては、無償化を主張しました。一定の費用はかかりますが、全国で制度導入に踏み切る自治体も増えており、物価高騰対策にもなります。この点でも検討をお願いしたいと思います。武蔵野の安全でおいしい給食を続けていた安全な食材の選定を続ける点でも、放射能測定器による放射能測定を高く評価しています。現在の機械を保守しながら、大切に使っていただき、当事者をはじめ市民の声を活かし ていただきたいと思います。

◆特別会計

 特別会計に関して申し述べます。

 国民健康保険に関しては、財政健全化計画という名前での、負担増には賛成できないこと、現在の医療保険制度そのものの見直しが必要であることを要望しておきたいと思います。
 水道事業に関しても、東京都との一元化の計画は、その後に民営化する可能性を私としては払しょくできませんので、極めて慎重にあたってほしいと要望をしておきたいと思います。物価高騰対策ともなりますが、水道の基本料金部分を当面無償化することは、市で可能なことであり、これは早急に検討していただきたいと申し上げておきます。

 以上いくつか評価と課題を述べてまいりました。

 最後に繰り返しになりますが、①基金なども活用し、市で決定できる税金・社会保険料等の減免も含め、生活に困窮する方への支援の強化②さまざまな形で存在している差別に対し、解消に向けて取り組みを強化することを、要望しておきたいと思います。

 今回の決算審査にあたられたすべての職員の皆さまに感謝申しあげ、私の討論といたします。