2020年 3月12日 武蔵野市自治基本条例 討論


自治基本条例の賛成討論を以下に投稿します。小見出し<>については、読みやすくするため書いていますが、議場の討論では、読んでいません、

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ただいま議題となりました武蔵野市自治基本条例に関し、賛成の立場で討論をいたします。

<条例の基本的な内容>

この法案は、昨年12月に上程され、特別委員会で2回質疑が交わされたもので、前文と9章32条からなる条例案です。市長のことばによれば「市民自治の原則や平和への取り組みなど、武蔵野市がこれまで大切にし、将来にわたってさらに推進していくべきことや、市政運営全般について、誰がどのような役割を担い、どのような手続きで決めていくのかを明文化した、自治体の基本ルールを定める条例」とされる、重要な意味を持つ基本条例であると思います。

<スタートから現在まで>

この度の採決にあたって約2か年にわたり検討を重ねてきた「自治基本条例に関する懇談会」の皆さま・議案作成提出にかかわった皆さまをはじめ多くの関係者の皆さまに、心から敬意を表明したいと思います。
議論のスタートとして、第4期長期計画調整計画で、自治体運営に関する基本ルールの検討という記載があったことが、議会でも語られていますが、私にとっては、前の市長の公約にあったことが印象深い内容となっています。

<私自身の基本的な考えと取り組み>

私自身は、自治基本条例は、市政において最高法規であり極めて重要であると考えてきました。したがって、2015年市議会議員選挙の前に広報物の中に「自治基本条例の早期制定」と書き、2019年選挙では「年齢・性別・国籍・性的指向・性自認・出自・障がいの有る無しにかかわらず、すべての市民が個性と人権を尊重されるまちを」「自治基本条例に人権尊重規定及び人権侵害・差別に対する苦情処理・勧告のできる第三者機関を明記する」と書きました。
また、自治基本条例(仮称)骨子案素案に際しては、前文に「在日コリアンの存在」「包括的な人権尊重・差別禁止」の明記など訴えてまいりました。

<条文に即した評価できる点>

さて、ここから条文の内容に関して評価と課題を述べていきたいと思います。

まず、前文です。「恒久平和の実現」「市民一人ひとりの人権を尊重」「『基本的な自治の原則』を明らかにする必要」などの記載はよかったと思います。

また、第1章総則の市民の定義では、住んでいる方だけでなく、在学・在勤を含めたことは、時代に即したものと高く評価いたします。

そして、第3章では 参加と協働が記載されています。
その第2節第14条・第15条にある公共施設の整備等に関わる市民参加については、重要な問題です。特別委員会でも大きなテーマとなっていた点ですが、15条に「市長等は、政策等の立案及び決定の段階において、その内容及び性質に応じ、適時に、かつ、適切な方法により、市民参加の機会を設けるよう努めなければならない」とあり、その方法として「アンケート、意見交換会、ワークショップ、市民委員の公募、パブリックコメント手続き」が明記されたことも大いに評価できると考えます。
2016年、市内吉祥寺東町に建設予定だった保育園が撤退したこともあり、さらに、福祉施設に関してもさまざまな世論があって、施設建設の各側面を体験しました。全国的にも、各種公共施設に関して、建設促進だけではないさまざまな意見がありました。私から見ると「少し違うのでは」と思う意見もあります。市長が、特別委員会の答弁で述べられた公共施設等に関して、国や都が行うものもあり、実施主体が異なることは、その通りだと言えます。したがって、この条文に何かを加えるとか修正していく必要は無いのでは、と考えています。
市民参加の中で大切な部分である第5節住民投票ですが、制度そのものと、成立不成立にかかわらず結果を公表することが条例に明記されたことは大変よかったと評価します。今後、具体的な方法が審議されますが、私も意見を言っていきたいと思います。

さらに、第9章の平和及び国際交流が1章別建てで条例にあることもよかったと考えています。

<課題と考えている内容>

評価できる内容のあとに、課題として、私の見解を述べたいと思います。

それは「包括的な人権尊重・差別禁止の規定」「規定を具体化するための第三者機関の設置」に関してです。これについては、この議案審査に関しても12月の本会議で質問し、担当部長からそれぞれ「人権につきましては憲法第11条、14条等で保障されている内容で、最も基本的、普遍的な価値であるもので、これを尊重するのは当然である」「条文に起こすということではなく、前文にうたう」「第三者機関につきましては・・・人権擁護委員法に基づきまして、国の制度として人権擁護委員がおる」「月1回、人権相談をやっている・・・深刻なものについては国のほうの人権侵犯事件の調査救済という、そういう仕組みがございますので・・・第三者機関について規定することはしていない」との答弁が示されました。
まず、包括的な人権尊重・差別禁止の規定ですが、年齢・性別・出身地・性的指向・性自認・出自・障がいの有る無しなど、主張や見解でなく、自分で左右できない属性によって、差別があることは残念ながら厳然としています。これをどのようにして解消の方向に向かって努力してゆくのか、様々な方法があり意見も多様であると思いますが、私は、この条例で個々にではなく包括的に規定することは、排除されていないと考えます。市の姿勢のより確かで、大きな一歩になると思っています。第三者機関も、人権擁護委員という国の制度があればよいのではなく、身近な自治体で機関があることが、声も届けやすく差別解消につながると考えます。
なぜなら、第6期長期計画でも強調された多様性を尊重するということは、違いを認めそのうえで解消する手立てを講じることであり、過去から現在を振り返れば、世界は一歩ずつ差別解消に向かって歩みを進めていると考えているからです。そして、武蔵野市においても、レインボームサシノシ宣言が出されたり、他の国出身の市民が増えたり、ヘイトデモの恐れがあると市民から指摘された行為が呼びかけられ、それができなかったり、考えるべき内容が増えたと感じているからです。ですから、こうした点も、今後多くの方に考えていただきたいと思います。

<しめくくり>

最後に、この度自治基本条例が採決されることは市政にとって大きな前進だと申し上げ、賛成討論といたします。