11月28日、松下市長に初めての一般質問をしました。原稿全文です。

11月28日に、松下市長へ初めての一般質問をしました。

以下、少し長いのですが、原稿全文を投稿します。

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10月1日の市長選挙で武蔵野市初の女性市長が誕生しました。松下候補は、自民党推薦候補に2倍近い票を得て当選しました。これは松下候補の市政に関する政策への支持であるととともに、国政で権力の私物化とみられる案件が相次ぎ平和や基本的人権を損う動きが強まっていることに対する市民の意思表示ではないかと私は考えています。

今回は市長の施政方針をもとに大きく4項目質問をします。

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はじめに市長の政治姿勢について質問します。

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1点目に、日本国憲法の基本的な価値への評価を伺います。

国政では、今後自民党の提案する改憲をめぐる議論が政治日程に上ろうとしていますが、私は憲法の国民主権・平和主義・基本的人権の尊重などの価値は尊重されるべきと考えます。とりわけ、前文では「われらは平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において名誉ある地位を占めたいと思う。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」とあり、日本が進むべき方向を示したもので、まったく色あせていないと今でも胸が熱くなります。自民党の改憲案は憲法9条に第3項を付け加えることなどが大きな論点ですが、それだけでなく表現の自由・男女平等などの基本的価値が掘り崩される可能性も指摘されています。市長の見解を伺います。また、それを市政ではどのように生かしていく考えかお聞かせください。

 

2点目に、武蔵野市のめざすべき市政の基本的な方向性について伺います。私は、一貫して自治と人権の尊重が重要と訴えてきました。

自治とは、国の進める保育・医療・福祉・PPPなど公有地活用等の多くの分野での規制緩和の動きに対し、自治体独自の自立した政策判断・実施を行い、市民の利益を守ることであり、人権とは、国籍・年齢・性別・障害のあるなしなどに関わらず、誰をも排除しない、多様な市民の人権を尊重する姿勢を堅持することであると考えています。市長の見解を伺います。

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2番目に、子ども・子育て応援宣言の具体化について質問します。

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9月議会で私は、次のように指摘し質問しました。<昨年のましゅまろ保育園事業者撤退、この夏明らかになった吉祥寺南町の保育園開園延期と、保育園建設と質の確保に関し、大きな関心が寄せられている。市は、待機児ゼロに向け今年度保育園建設をいくつもすすめているが、保育園の設置場所は地域の偏りがないか、保育の質はどうか、同じ園に兄弟が入れないことによる負担、認証保育園と認可園の保育料の格差など、課題は残っている。>この認識は今も変わっておりません。市長選挙で、松下候補が子ども子育て応援宣言を第一の政策課題に掲げ、2年以内の待機児童ゼロを緊急課題としたことは、多くの子育て家庭の希望となっています。私は、10月29日の保活交流会に参加し、園庭は?おむつの持ち帰りは?ベビーカーでの登園は?など、子育て家庭の気になるリアルが語られていました。「見学会に行ったけどすごい人だった」「自営中心の働き方では認可園は難しいのか」「兄弟が同じ保育園に入れないと大変」という保育園探し真っ最中の声も聞かせていただきました。子ども子育て応援宣言の具体化・当面の課題について、以下、質問いたします。

 

1点目に、待機児ゼロと保育の質の確保を目指す取り組みについて伺います。

第1に、来年4月入所の保育園の申し込み状況をお聞かせください。年齢別・各町別にお願いいたします。

第2に、今年度整備予定の保育園について進捗状況を伺います。

第3に、保育の定数より多くの子どもを受け入れる弾力化は、どの程度行うのでしょうか。

第4に、来年4月時点での待機児の見込みはどのように想定しているのでしょうか。

第5に、園庭の無いあるいは狭い保育園での公園利用に関して伺います。最近開園した保育園には、園庭が無かったり狭いところも少なくありませんが、毎日のお散歩や運動会などの行事の際にサポートを行ったり、公園の管理や補修に関し、担当課とも連携して近隣住民との交流や子どもにとって使いやすい公園となるよう、市としても配慮していただきたいと考えます。市長の見解を伺います。

第6に、兄弟別園の課題について伺います。兄弟別園の世帯からは、送迎の時間がかかる、行事などが重なることもある、災害時の対応も心配などの声が、かねてからよせられていますが、兄弟別園の解消に向けて、今後どのように取り組む考えか、市長の見解をお聞かせください。

第7に、ましゅまろ保育園事業者撤退・南町の保育園開設延期と残念な事態が何件か続いていますが、市長は地域の理解を得る手立てをどのように考えているのか、ご答弁をお願いします。

 

2点目に、認可外保育施設を無償化から外す政府の方針について伺います。

この質問を書いた11月13日時点では、「3歳から5歳までの幼児教育・保育の無償化をめぐって、政府が認可外保育施設の一部を除外する案を検討しており、市民から反対の声が多くなっている。市民団体がインターネット上で呼びかけた反対署名は5日間で1万人を超えた。」状況でした。

それで、今日の新聞を見ますと、昨日の衆議院予算委員会で安倍首相は、来年の夏までに結論を出していきたいという方針を出したようです。最終的には署名は5万578人分提出されたと報道されていました。

もともと幼児教育・保育の無償化は、安倍政権の「人づくり革命」の主要施策で、3歳から5歳の幼児教育・保育を無償化するとしていたにも関わらず、認可外施設を対象施設方外す方針を検討したことに対して、多くの市民が「不不公平だ」「待機児童対策が先だ」と声を上げました。私も、今取り組むべきは待機児童対策での認可保育園の増設や保育の質の向上にもつながる保育士待遇改善などであると考えています。

こうした声を受けて政府は、数日前の時点で、認可外施設も月額3万5000円を上限に助成する方向に転じ、この具体策を今から検討するということです。市長のこの問題への見解をお聞かせください。また、来月8日に正式決定することが報道されていますので、政府に対し当事者の声を届けていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

3点目に、児童館事業の位置づけについて伺います。

児童館の事業については、第5期長期計画調整計画で論点の一つでした。

お隣の杉並区をはじめ、全国的に児童館事業は縮小再編の流れが強くなっています。

武蔵野市の子どものいる全世帯を考えてみれば、武蔵野市には児童館は1館しかありませんが、児童館あるいは児童館の機能が必要であると考えてます。児童館は、年齢や通ってる学校、親の就労状況等で区別されず、いつでも利用でき、長期にわたって子どもと職員がかかわりを持つことのできる施設です。児童館には入れない子どもはいないのです。兄弟一緒に利用できます。不登校になった子どもの居場所になった例も知っています。働きたいが適切な仕事を見つけられず、保育園に入れなかった世帯が利用することもあり得ます。児童館のような専門職員を置く単独の目的の施設は、経費がかさむという考えにはたってほしくないと思います。子どもには、保育園も幼稚園も児童館も必要ではないでしょうか。

そこで質問します。

第1に、児童館あるいは児童館機能は、もっと拡充すべきと考えてますが、市長の見解を伺います。

第2に、今年度評価を実施する事務事業及び補助金のリストに、児童館の館内行事活動事業・移動児童館コミュニティわいわい広場事業・児童館演劇フェスティバルの3事業がありました。これによってただちに児童館関連事業が縮小されるとは思っていませんが、評価はどのように実施されるのか、伺います。

4点目に、大規模開発に伴う保育園・学童クラブ・公立小中学校などの施設整備に関して伺います。

現在、中町、北町、では大規模な集合住宅の建設が進んでいます。また、最近境の生産緑地が解除されることになり、大規模な宅地開発が進むと想定されます。さらに、吉祥寺東町の私立学校では生徒募集を停止していることから、今後の宅地開発の可能性もあると考えられます。これに加え、三鷹駅北口の駐輪場跡地への建設計画も具体化しつつあります。こうした大規模宅地開発が進めば、当然保育園や学童クラブの需要・公立学校の教室や給食提供数に影響を及ぼすと予測されます。保育園の保護者からも今後の市の対応に関心がよせられています。土壇場になって保育園が足らない、教室が足らない、ということにしないために、こうした変化をどのように予測しているか、施設面での対応はどのように行うのか、お尋ねします。

 

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3番目に施設一体型小中一貫校について質問します。

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現在、武蔵野市小中一貫教育検討委員会が開催され、小学校・中学校別に改築される小中学校別教育と施設一体型義務教育学校として改築する小中一貫教育の比較資料を基に議論されています。施設一体型義務教育学校の場合、現在の小学校区に6つの中学校が12に分割され、残った6つの学校敷地は、第2校地として利用されるとしています。小学校5年生にあたる学年からの教科担任制の導入は、中学校の競争的な面が前倒しされ、のびのびした小学生時代が短くなるのでは、6・3制から4・3・2制になると6年生のリーダーシップの育成が難しくなるのではなどを、私は2016年の予算委員会で疑問として述べましたが、これに対する説得力ある回答は示されていないと感じています。また、中学生集団が各学校で少なくなることの問題も指摘されています。

市民の中でもいまだ施設一体型義務教育学校に関する教育委員会の提案内容は十分周知がされているとはいえないのではないでしょうか。私自身も今の武蔵野市の教育で施設一体型小中一貫校設置の必要性を感じません。学校改築にあたって順次小中一貫校にするのであれば、市内で地域によって学校制度が異なるという重大な問題も生じます。

しかし、検討委員会を傍聴している中では、施設一体型小中一貫校の熱心な専門家の方の意見も多く、前のめりの印象です。検討委員会の議論は、市民の感情や意見とは乖離があるのではないでしょうか。今後、市民意見の聴取を経て、2月に教育長に答申を出す予定とされていますが、教育・コミュニティ等にかかわる重大なテーマですので、以下質問いたします。

第1に、子どもにとって小学校・中学校の役割をどのように考えているか、市長・教育長それぞれの見解を伺います。

第2に、現在の小学校・中学校に対する子ども、保護者、地域住民の改善の要望はどのようなものととらえているかお聞かせください。

第3に、市民への広報広聴について伺います。12月から1月に予定されている意見交換会・ワークショップ開催では、広く市民の意見を聞く手法は取られていないが、なぜでしょうか。子ども・保護者・地域団体はもちろんですが、市民全体への広報と意見聴取が必要ではないかと考えます。ご見解をお聞かせください。

第4に、今後の学校施設整備基本計画策定との関係で予定されているスケジュールを伺います。

第5に、当面する課題について伺います。最近、小学生のお子さんの不登校の事例について保護者の方からご相談がありました。不登校は小学校の中で低年齢化している印象を持っています。配慮を必要とする子どもへの対応の充実ももっと必要です。また、マスコミでも教師の多忙化解消が大きな課題であることが報じられています。部活動などへの対応も含め、教師の多忙化解消のための増員や少人数学級の拡大など、ひとりひとりの子どもに教師がきちんと向き合えるよう教育の基盤整備をしっかりと検討していくべきではないかと考えていますが、市長・教育長の見解を伺います。

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4番目に、住宅政策の新たな前進について質問します。

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松下市長の選挙の大きな訴えは「みんなが住み続けられるまちへ!」でした。私も大いに賛同するところです。そのためには、住まいの安定は欠かせません。6月議会で私は、住宅セーフティーネット法の改正に伴う市の対応に関し提案をいたしました。改正住宅セーフィティネット法は4月19日に可決成立し、10月25日から施行されています。この法律は、高齢者・障害者・低所得者など、現在の賃貸住宅市場において、住宅確保が困難な方を「住宅確保要配慮者」と位置づけ、都道府県ごとに空き家の登録制度を新設して、オーナーが空き家を活用することを促し「住宅確保要配慮者」の入居促進につなげたいとするものです。方向性は評価できますが、空き家のオーナーへの月額最大4万円の家賃補助が法律の条文に盛り込まれず予算措置にとどまるなどの課題もあります。

しかし、大きな制度改正ですので、この機会に住宅に困窮しがちな世帯への対応を進めていただきたく、以下質問いたします。

第1に、施行に伴い、どのような事業をいつから実施する考えかをお聞かせください。

第2に、家賃補助制度については、どのように検討する方針か。実施にあたって課題は何かをお示しください。

第3に、原発事故による自主避難者への住宅支援について伺います。今年4月に住宅支援が打ち切られ、4月以降の家賃支払いが困難、さまざまな理由で生活保護受給を断られるなどの例が市民団体に寄せられており、母子家庭、病気を抱えた方、非正規の労働者などの貧困が深刻化しています。なかには、精神的にも追い詰められ自ら命を絶った避難者も他県でおられます。武蔵野市へは、自主避難者も区域内避難者もともに避難しています。生活実態の調査を実施し、困窮状態を防ぎ必要な支援につなげるステップとしていただきたいと思いますが、市長の見解をお聞かせください。

最後に、松下市長への最初の議会質問ですので、一言申し上げます。

私が、市長の施政方針を読んで最も評価したいのは「健全財政を市民のために活かすまち」のところです。「行政改革それ自体が目的でなく、市民の福祉の向上、武蔵野市の持続的発展を図ることを目的として取り組んでまいります」と書かれています。

私は、第5期長期計画・その調整計画の議論にあたって、インフラ整備などに過剰な支出見通しを示して、財政が大変だから市民の要望をかなえる財源はあまり無いとの理由づけにしないよう、指摘をしてまいりました。

健全財政を市民のために活かす、400億円ある基金を毎年積み増しすることそのものを目的とせず、必要な事業を実施するために活かすことをぜひやっていただくよう重ねて要望します。

24日の代表質問への答弁は、少し安全運転かなとの印象を持ちました。ぜひ、今後松下カラーを出してこれまで難題であったテーマに果敢に向き合っていただくことを期待いたしまして、壇上での質問を終わります。